ネントレ、早すぎると逆効果?適切な開始時期と親の心得まとめ

ネントレ基礎

夜泣きやぐずりが続く赤ちゃんに「ネントレ(ねんねトレーニング)」を検討しているけれど、「まだ早いのでは?」「泣かせるのはかわいそう」と悩んでいませんか?

確かに、時期を誤るとネントレが逆効果になることもあります。この記事では、ネントレを始める適切な時期と、早すぎるとなぜ逆効果になるのか、そして親の不安を解消するポイントをご紹介します。

ネントレを始めるのに「早すぎる」とは?

ネントレは赤ちゃんに「ひとりで眠りにつく力」を身につけさせるトレーニングですが、生理的に親のサポートが必要な時期に始めると逆効果になる可能性があります。

なぜ早すぎるとよくないのでしょうか?それは、月齢の低い赤ちゃんは脳や体の発達が未熟で、自分で寝つくことが生理的に難しいからです。特に生後3ヶ月頃までの赤ちゃんは、まだ体内時計が整っておらず、昼夜の区別もついていません。また、授乳間隔も短く、頻繁に栄養補給が必要な段階です。

月齢が低い時期にネントレを始めると、赤ちゃんは自分で寝つく準備ができていないため、長時間泣き続け、親子ともにストレスが増す結果になりがちです。

また、この時期の頻回な授乳は赤ちゃんの健やかな成長に欠かせないものであり、無理に間隔を空けることは適切ではありません。

医学的な観点からも、多くの研究でネントレの対象は生後6ヶ月以降の赤ちゃんとなっています。これは、この時期になってようやく赤ちゃんが「ひとりで眠りにつく力」を習得できる発達段階に達するからです。

適切なネントレ開始時期は「生後6ヶ月以降」

では、いつからネントレを始めるのが適切なのでしょうか?多くの専門家が推奨するのは、生後6ヶ月以降です。

この時期になると、赤ちゃんの睡眠パターンが整い始め、ほとんどの赤ちゃんで体内時計が機能して夜に長く眠るリズムができてきます。また、栄養面でも離乳食が始まり、夜間の授乳回数を自然と減らせる時期でもあります。

フリンダース大学のMichael Gradisar博士らが2016年に発表した研究では、生後6ヶ月~1歳4ヶ月の赤ちゃんを対象にネントレを行った結果、寝つきが平均で約12分早くなり、夜中に目が覚める回数も明らかに減少したという結果が出ています。

この時期に始めると、赤ちゃんは自分で寝つくスキルを習得する生理的な準備ができているため、より短期間で効果を実感できることが多いのです。

ネントレ前に試せる!月齢別の睡眠改善ステップ

ネントレを始める前に、まずは赤ちゃんの月齢に合わせた睡眠環境づくりから始めましょう。これらのステップはどの月齢からでも始められ、将来のネントレをスムーズにする土台となります。

  • 生後0~2ヶ月

    この時期はまだ昼夜の区別がついていないため、昼間は明るい環境で過ごし、夜は暗く静かな環境を作りましょう。授乳や世話のときも、夜は最小限の明かりで淡々と行います。赤ちゃんのペースに合わせて、少しずつ生活リズムを整えていきましょう。

  • 生後3~5ヶ月

    昼夜の区別がつき始めるこの時期は、朝6~7時に優しく起こし、夜は20時頃に寝かせるリズムを作ります。寝室は可能な限り暗くし、夜の寝かしつけ前には「お風呂→授乳→絵本→子守唄」といったルーティーンを確立しましょう。

    この時期からできることは、抱っこや授乳で完全に寝かしつけるのではなく、少し眠たくなったときにお布団に横にしてあげる習慣をつけることです。

  • 生後6ヶ月以降

    ネントレを始める準備ができる時期です。しっかりした睡眠環境(暗い寝室、適切な温度、ホワイトノイズなど)と就寝前ルーティーンを整え、離乳食も進めます。この時期から、「ひとりで眠りにつく力」を少しずつ教えていくことができます。

「泣かせるのがかわいそう」と思ったときの心構え

「ネントレは赤ちゃんを泣かせるトレーニング」というイメージから、多くの親が不安や罪悪感を抱きます。この気持ちへの対処法をご紹介します。

ネントレの本当の目的は「自分で眠れるようになること」

ネントレの目的は、赤ちゃんを泣かせることではなく、自分で眠るスキルを身につけさせることです。これは歯みがきなどと同じ、「今は嫌がっても長い目で見て必要な教育」と考えることができます。

赤ちゃんの泣き声を聞くと、親は本能的に早く泣き止ませようとしますが、赤ちゃんが「眠いのに眠れない」と泣いている場合、すぐに抱っこすることが必ずしも最善の解決策ではありません。赤ちゃんが本当に求めているのは「眠ること」であり、一時的に嫌がっても自分で眠るスキルを身につけることは、将来的に良質な睡眠をもたらす贈り物になります。

2012年にオーストラリアのメルボルン大学が発表した研究では、生後7ヶ月の赤ちゃんにネントレを行い、5年後に子どもの発達状況を調査しました。その結果、ネントレを行ったグループと行わなかったグループの間に、精神面の発達や親子関係に違いは見られませんでした。これは、適切な時期に行うネントレが赤ちゃんの愛着形成に悪影響を与えないことを示しています。

むしろ、親が睡眠不足で疲れ切っている状態より、ネントレによって親子ともに良質な睡眠がとれるようになったほうが、日中に笑顔で向き合える時間が増え、より良い親子関係を築けるという利点があります。

ネントレ成功のための親の心得

ネントレを成功させるためには、親の準備と心構えが重要です。以下のポイントを押さえておきましょう。

1. 一貫性を保つ

ネントレを始めたら、少なくとも2週間は続けることが大切です。途中で心が折れて元の寝かしつけ方法に戻ると、赤ちゃんが「長く泣けば親が来てくれる」と学習し、かえって状況が悪化することもあります。

2. 適切なタイミングで始める

引っ越しや旅行、病気の直後など、赤ちゃんの生活が不安定な時期は避けましょう。また、最初の数日は特に大変なので、連休前の金曜日や土曜日から始めるのがおすすめです。

3. パートナーや周囲のサポートを得る

ネントレ中は親もストレスを感じることがあります。パートナーや家族と交代で担当するなど、サポート体制を整えておきましょう。

4. 眠い以外の理由で泣いているときは対応する

赤ちゃんが眠い以外の理由(お腹が空いている、暑い・寒い、オムツが濡れている、体調不良など)で泣いている場合は、もちろん対応してあげましょう。ネントレは「放置」ではなく、「教育」です。

5. 自分自身を責めない

ネントレ中に赤ちゃんが泣いても、あなたが悪い親なわけではありません。長期的な視点で、赤ちゃんの健やかな成長のために必要なプロセスだと考えてください。

まとめ:ネントレは「早すぎず、遅すぎず」が肝心

ネントレを始める最適な時期は、生後6ヶ月以降です。それ以前に始めると、赤ちゃんの発達段階的に自分で寝つくことが難しく、親子ともにストレスが増してしまう可能性があります。

一方で、月齢にかかわらず、生活リズムの調整や睡眠環境の整備、就寝前ルーティーンの確立など、今からできることはたくさんあります。これらの土台づくりを行いながら、赤ちゃんの成長に合わせて、適切なタイミングでネントレを始めることが成功の鍵となります。

「泣かせるのがかわいそう」という気持ちは自然なものですが、適切な時期に行うネントレは赤ちゃんの発達に悪影響を与えず、むしろ親子で良質な睡眠を得るための有効な手段となります。

赤ちゃんの成長ペースは一人ひとり異なります。焦らず、赤ちゃんのサインを読み取りながら、ご家庭に合ったペースで進めていきましょう。良質な睡眠は、赤ちゃんの健やかな発達と、親子の幸せな時間のために欠かせないものです。

※ネントレを開始する前に、赤ちゃんの体調に不安がある場合や、いびきがひどい、眠っている間に呼吸が止まるなどの症状がある場合は、かかりつけの小児科医に相談することをおすすめします。

参考文献

  1. ネントレの長期的影響に関するランダム化比較試験
    生後7カ月の赤ちゃん326人を対象に、ネントレの5年後の影響を追跡調査した研究。
    出典:Price, A. M. H., Wake, M., Ukoumunne, O. C., & Hiscock, H. (2012).
    Five-Year Follow-up of Harms and Benefits of Behavioral Infant Sleep Intervention: Randomized Trial.
    Pediatrics, 130(4), 643–651.
    PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22966034/
  2. ネントレの短期的効果に関するランダム化比較試験
    生後6~16カ月の赤ちゃん43人を対象に、「段階的消去法」や「就寝時刻の調整法」の効果を比較した研究。段階的消去法を行ったグループでは、寝つきの時間が平均で約12分短縮され、夜間の覚醒回数も有意に減少した。
    出典:Gradisar, M., Jackson, K., Spurrier, N., Gibson, J., Whitham, J., Williams, A. S., Dolby, R., & Kennaway, D. J. (2016).
    Behavioral Interventions for Infant Sleep Problems: A Randomized Controlled Trial.
    Pediatrics, 137(6), e20151486.
    PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27244854/
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