赤ちゃんの夜泣きや寝ぐずりで睡眠不足に悩むパパ・ママは多いのではないでしょうか。「ネントレ(ねんねトレーニング)」はそんな悩みを解決する方法として注目されていますが、「何カ月から始められるの?」「うちの子には合うの?」と疑問を持つ方も多いはず。この記事では月齢別のネントレ開始時期と効果的な進め方をご紹介します。
ネントレとは?赤ちゃんに「ひとりで眠りにつく力」を身につけさせる方法
ネントレは、親のサポートなしに赤ちゃんがひとりで眠りにつく力を身につけるためのトレーニングです。これまでの母乳やミルクを飲みながら、あるいは抱っこで寝つくという習慣から、自分の力で眠れるように練習させる方法といえます。このスキルを身につけると、夜中に目覚めても自分で再び眠りにつくことができるようになるため、夜泣きが減少するという効果があります。
なぜネントレが効果的なのでしょうか?それは、赤ちゃんが「睡眠」と「親のサポート」を強く結びつけてしまうと、夜中に目覚めるたびに同じサポートを求めて泣くからです。アジアおよび欧米を中心とした17カ国の保護者29,287人を対象に、0〜36カ月の乳幼児の睡眠習慣と親の対応行動について調査した研究では、寝つくときに親がそばにいる赤ちゃんや、夜中に目覚めるたびに母乳・ミルクで寝かしつけられている赤ちゃんは、夜泣きする確率が高いことが明らかになっています。
例えば、生後9カ月の赤ちゃんが母乳を飲みながら寝る習慣がついていると、夜中に軽く目覚めたときに「母乳がないと眠れない」と感じて泣き出します。これが1〜2時間おきに繰り返されると、親も赤ちゃんも十分な睡眠が取れなくなってしまいます。
ネントレの本質は、赤ちゃんに「自分の力で眠る」という大切なスキルを教えることであり、これは手洗いや着替えなどと同じ育児の一環なのです。
月齢別:ネントレ開始の目安とアプローチ方法
生後0〜2カ月:まだネントレの時期ではありません
生後0〜2カ月の赤ちゃんは、まだネントレを始める時期ではありません。この時期は体内時計が未熟で、昼夜の区別がついていないため、1〜2時間おきに目覚めて泣くのは自然なことです。この月齢では、赤ちゃんが泣いたらすぐに対応し、授乳やおむつ替えをして安心させてあげることが大切です。
しかし、この時期からできる準備もあります。昼は明るく賑やかに、夜は暗く静かにする環境づくりを心がけましょう。朝は6〜7時頃に起こし、リビングに連れて行って日光を浴びさせることで、徐々に体内時計が整ってきます。生後2カ月頃から少しずつ昼夜の区別がつき始め、夜にまとまって眠るようになってきます。
- ネントレは行わない
- 泣いたらすぐに対応する
- 朝は光を浴びさせ、体内時計を整える
- 昼と夜の区別をつける環境づくりを行う
生後3〜5カ月:段階的な寝かしつけで自律を促す時期
生後3〜5カ月になると、体内時計が整い始め、睡眠のパターンも安定してきます。この時期は完全なネントレではなく、段階を踏んだ寝かしつけで徐々に自分で寝つく練習をさせていきましょう。
まず、夜泣きしたときは1〜2分様子を見て、寝言泣きなのか本当に起きているのかを確認します。その後、泣き続けるようであれば、次の順序で対応していきます:
- 声かけ(「ねんねだよ」「大丈夫だよ」など短い言葉で)
- トントン(胸のあたりを軽くトントン)
- どうしても落ち着かない場合のみ抱っこ
この時期のポイントは、以前のように「抱っこや授乳ですぐに寝かしつける」のではなく、まずは声かけやトントンで寝つけるよう練習させることです。赤ちゃんが落ち着く気配を見せたら、うとうとする前にお布団に下ろし、トントンを続けましょう。
- 夜泣き時は1〜2分待って様子を見る
- 段階を踏んだ寝かしつけを実践
- トントンまでで寝つくよう練習させる
- 寝る前に抱っこや授乳からお布団へ移す
生後6カ月以降:本格的なネントレを始める最適な時期
生後6カ月を過ぎると、いよいよ本格的なネントレを始めるのに適した時期です。この頃になると、睡眠と寝かしつけの関連づけがすでに強くなっている可能性が高く、短期集中でトレーニングすることが効果的です。
オーストラリアの研究では、生後6〜12カ月の赤ちゃん156人を対象に、ネントレを行ったグループとそうでないグループを比較したところ、2カ月後に睡眠の問題が解決した割合は、ネントレグループが70%、対照グループが47%という結果が出ています。
ネントレの具体的な方法は以下のステップで行います:
- ルーティーン(お風呂、授乳/ミルク、絵本など)が終わったら「おやすみ」と言って部屋を出る
- 赤ちゃんが泣き始めたら、決められた時間(初日は3分程度)待つ
- 時間がきたら部屋に入り、「ねんねだよ」と声をかけて、すぐに部屋を出る
- また泣き始めたら次は少し長い時間(5分程度)待ち、同様に対応する
- これを寝つくまで繰り返す(待ち時間は日を追うごとに少しずつ延ばしていく)
ネントレは、最初の3〜4日は大変ですが、その後は急速に改善が見られるケースが多いです。およそ2週間続けると、多くの赤ちゃんは泣かずに眠れるようになります。
- 本格的なネントレを開始できる
- 部屋を出て一定時間を置いてから声かけ
- 日を追うごとに待ち時間を延ばす
- 2週間は必ず続ける
月齢別ネントレ早見表
| 月齢 | ネントレの適否 | おすすめのアプローチ |
|---|---|---|
| 0〜2カ月 | ×(不適切) | ・泣いたらすぐ対応 ・朝は光を浴びせる ・昼夜の区別をつける環境づくり |
| 3〜5カ月 | △(段階的に) | ・1〜2分待ってから対応 ・声かけ→トントン→抱っこの順 ・抱っこはできるだけ控える |
| 6〜8カ月 | ◎(最適) | ・本格的なネントレを開始 ・泣いても一定時間待つ ・声かけのみで抱っこはしない |
| 9〜12カ月 | ○(適切) | ・本格的なネントレを継続 ・夜間授乳も減らせる ・時間をかけても効果あり |
ネントレ成功のためのポイントと注意点
事前準備は万全に
ネントレを始める前に、次の点をしっかり整えておきましょう:
- 生活リズムを整える– 朝6〜7時に起こし、夜は20時頃に寝かせる規則正しい生活
- 寝室環境を整える– できるだけ真っ暗にし、室温は冬18〜20℃、夏25〜27℃に調整
- ルーティーンを確立する– 寝る1時間前からのリラックスタイム(お風呂、着替え、絵本など)
- 安全な寝床を用意する– ベビーベッドがおすすめ(お布団の場合は部屋全体の安全確保を)
これらの準備ができていれば、ネントレの効果も高まります。
開始のタイミングと継続の重要性
ネントレ開始は、連休前や金曜日の夜がおすすめです。最初の数日が最も大変なので、パパとママが協力し合える時期を選びましょう。また、引っ越しや保育園入園、旅行などの予定がない期間を少なくとも2週間確保することが重要です。
いったん始めたら最低2週間は続けることが大切です。途中で中断すると、赤ちゃんが「長く泣けば親が来てくれる」と学習してしまい、以前より長時間泣くようになる可能性があります。体調不良の場合は例外ですが、それ以外は一貫した対応を心がけましょう。
よくある不安とその解消法
ネントレに対して「かわいそう」「心の成長によくないのでは」という不安を持つパパ・ママも多いですが、研究では、ネントレは赤ちゃんの心の成長に悪影響を与えないことが証明されています。
オーストラリアのメルボルン大学の研究では、生後7カ月の赤ちゃん326人を対象に、ネントレをしたグループとしなかったグループを5年後に比較しましたが、子どもの精神面の発達や親子関係に差は見られませんでした。
また、赤ちゃんが泣くのは「眠いのに眠れない」という不快感の表現であり、ネントレによって自分で眠る方法を身につけることで、その不快感から解放されるのです。短期的には泣くかもしれませんが、長期的には質の良い睡眠が取れるようになり、赤ちゃん自身のためになります。
まとめ:月齢に応じた適切なアプローチで、赤ちゃんの睡眠を改善しよう
ネントレは生後6カ月以降が本格的な開始時期ですが、それ以前の月齢でもできる準備や段階的なアプローチがあります。0〜2カ月は体内時計を整えること、3〜5カ月は段階を踏んだ寝かしつけ、6カ月以降は本格的なネントレという流れで進めると、スムーズに赤ちゃんの睡眠習慣を改善できるでしょう。
ネントレは短期的にはパパ・ママも赤ちゃんも大変かもしれませんが、長期的には家族全員の良質な睡眠につながります。赤ちゃんと一緒に「自分で眠るスキル」を育んでいきましょう。
「どうしても夜中に何度も起きてしまう…」「寝かしつけに1時間以上かかる…」など、お子さんの睡眠でお悩みの方は、まず生活リズムと寝室環境を整え、そして月齢に応じた適切なアプローチを試してみてください。赤ちゃんの睡眠が改善すれば、パパ・ママもゆっくり休めて、日中も笑顔で過ごせるようになりますよ。
参考文献
-
赤ちゃんの睡眠と親の関与に関する国際調査(2010年)
アジアや欧米を含む17カ国の保護者29,287人を対象に、0〜36カ月の乳幼児の睡眠習慣と親の寝かしつけ方法を調査した研究。夜中に目覚めた際に毎回授乳・抱っこなどで寝かしつけられている赤ちゃんは、夜間の覚醒頻度が高い傾向にあることが示された。
出典:Mindell, J. A., Sadeh, A., Wiegand, B., How, T. H., & Goh, D. Y. T. (2010).
Cross-cultural differences in infant and toddler sleep. Sleep Medicine, 11(3), 274–280. URL:https://doi.org/10.1016/j.sleep.2009.04.012 -
ネントレの長期的影響に関するランダム化比較試験
生後7カ月の赤ちゃん326人を対象に、ネントレの5年後の影響を追跡調査した研究。
出典:Price, A. M. H., Wake, M., Ukoumunne, O. C., & Hiscock, H. (2012).
Five-Year Follow-up of Harms and Benefits of Behavioral Infant Sleep Intervention: Randomized Trial.
Pediatrics, 130(4), 643–651.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22966034/ -
乳児の睡眠と認知・成長との関連に関するレビュー
乳児期の睡眠パターンと認知・身体的発達の関連をまとめたナラティブレビュー。
出典:Infant sleep and its relation with cognition and growth: a narrative review(Nature and Science of Sleep)
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5440010/ -
睡眠トレーニングの効果と安全性に関するレビュー
乳幼児に対する就寝時の問題と夜間覚醒への行動療法の有効性を検証したレビュー論文。
出典:Mindell, J. A., Kuhn, B. R., Lewin, D. S., Meltzer, L. J., & Sadeh, A. (2006).
Behavioral Treatment of Bedtime Problems and Night Wakings in Infants and Young Children.
Sleep, 29(10), 1263–1276.
PDF:https://aasm.org/resources/practiceparameters/review_nightwakingschildren.pdf
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